本記事では日本語教員試験の聴解で狙われやすい、プロミネンス・イントネーションについて解説します。アクセントや発音とも混同されやすい概念なので、違いをしっかり押さえて、聴解試験で聞き分けられるようにしましょう。
日本語教員試験の出題方法とは?
日本語教育能力検定試験の聴解では、学習者や教師の発話を聞き、学習者の発音上の問題点を指摘させるような問題形式がよく出題されてきました。日本語教員試験でもその流れを踏み、実際の教育現場を想定して、学習者に素早く的確なフィードバックをするための聴解力を測る問題が出題されると考えられます。
これまでの問題傾向としては、①語単位の発話を聞き、高低がどのように変化したかという「アクセントの型」を答えさせる問題や、②発音上の問題点として「拍の長さ」「アクセントの下がり目」「プロミネンス」「文末イントネーション」のどれに問題があるかを見極めるような問題が出題されていました。
このような問題では、用語の意味をよく理解し、聞いた音声の違和感が何によるものかを瞬時に判断するというスキルが求められます。
例題
これから教師と学習者が話します。学習者の発音上の問題点として正しいものを選んでください。
教師「どこに行ったんですか。」
学習者「北海道に行ったんです。」
a 拍の長さ
b プロミネンス
c アクセントの下がり目
d 文末イントネーション
答え
正解はb。この問題例では、「どこに行ったんですか」という質問に対し「行ったんです」という部分にプロミネンスを置いて回答しています。
会話の流れとしては、教師が質問している「どこに」という要素が重要な部分になるため、回答としては「北海道に」の部分にプロミネンスを置いて発話するのが自然です。
「行ったんです」の部分にプロミネンスを置いた場合「行ったかどうか」に焦点が当たるため、不自然に聞こえます。
プロミネンスとは
プロミネンスとは、言語の分野で「話している内容の中で特に伝えたい場所を際立たせること」を指します。英語のprominence(顕著、突出すること)から来ており、日本語では「卓立」と言ったりもします。
わたしたちは話すときに、質問の中で特に何を聞きたいのか、どんな質問に対する回答なのか、または文の中でどこが新情報なのかなどを強調するために、一部を大きくゆっくり発音したり、音のピッチを上げて発音したりします。

例えば「昨日ラーメンを食べた」という文でも
①いつ食べたのかを明確にしたい場合は
「昨日ラーメンを食べた。」
②何を食べたのかを明確にしたい場合は
「昨日ラーメンを食べた。」
のように下線部の音を高く、抑揚がはっきりするように発音するかと思います。このとき、他の部分よりも強調して話される部分にプロミネンスがあることになります。
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句末・文末イントネーションとは
「イントネーション」は文単位での音の高さの変わり方や抑揚のことです発話意図によって、平調、上昇調、下降調などが組み合わされ、使い分けられます。
「アクセント」としばしば混同されやすい用語ですが、「アクセント」のほうは単語単位での高さや強さの強勢の位置のことです。日本語では高低アクセントのことを指し、「橋」や「箸」、「雨」や「飴」、「日本」や「二本」のように、音の高さによって単語の意味が変わります。関西方言などでは同じアクセントで発音されることもあり、地域によってアクセントのパターンは異なります。

イントネーションは、アクセントのように語彙そのものの意味の分別には影響しませんが、どの語がどの語にかかっているかなどの文構造の提示や発話意図を伝える重要な役割があります。通常、文末のアクセントは文末の最後の音で変化をつけます。
例)
a.「ああ、そうですか。(↓)」(納得)
b.「そうですか?(↑)」(疑問)
c. ねえ、あれ、田中さんじゃない?(↑)(疑問)
d. あら、偶然!田中さんじゃない!(↓)(驚き)
e. あれは多分、田中さんじゃない。(↓)(否定)
下降調のeとdの間にも微妙な違いがあると思います。
文末ではない「句末イントネーション」もあり、こちらは句末の音の高低(抑揚)のことを言います。
句は文や発話全体の中での小さい意味ごとのまとまりのことです。句末アクセントは、どこからどこまでが一つの意味のまとまりかを示す機能があります。
例えば、「白い鳥の羽を拾った」という文では「白い」「鳥の」はどちらも「羽」という名詞に係っています。そのため、
①鳥が白い(「白い鳥」の羽を拾った)
②羽が白い(白い、「鳥の羽」を拾った)
二通りの解釈をすることができます。
①を強調する場合は「し↓ろ↑い↓と↓り↓のはね」
②を強調する場合は「し↓ろ↑い↓、と↓り↑のはね」
のように高低差をつけることで修飾している部分がどこなのかを示すことができます。
また、句末イントネーションは、やり取りにおいて話者同士のやり取りの切れ目(ターンテイキング)のタイミングを示す指標にもなる非言語要素です。
発話がまだ続く場合には上昇調で発音され、自分のターンが終わるときには下降調になる傾向があります。
例)
「すみません、昨日こちらに伺ったんですけど(↑ゆるやかに上昇)、そのとき傘を忘れてしまったみたいで(↑ゆるやかに上昇)、それで、届いてないかなと思ったんです(↓下降)。」
個人差はありますが、句末を上昇調で言うと「後ろにまだ何か続くのかな」と感じさせる効果があるため、言いさし(文をすべて言いきらない)などの場合も、上昇調や、上昇した後少し下降させるようなイントネーションが用いられるのではないかと思います。
まとめ
聴解対策では自分の耳に頼るだけでなく、感覚と知識をしっかり結び付けておく必要があります。独学での試験ルート合格を目指す方々は、ぜひ演習を積んで試験に臨んでいただければと思います。
ある程度独学で内容が追えるという方でも、専門家の解説や問題演習で答えを選ぶ判断基準などを確認しておくと心強い補強となります。通信講座をご検討の場合はぜひ、TCJの試験対策講座をご活用ください!
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