カルチャーショックとは、異なる文化の中に入ったときに起こる心理的・社会的な摩擦のことです。自文化と多文化の価値観や習慣などの違いから驚きや戸惑いを覚えたりすることを指します。留学や仕事、移住などで自分がほかの文化圏に行ったときや、他の文化圏から来た人とのコミュニケーションの中で「カルチャーショック」を受けた経験がある方は多いのではないでしょうか。
日常的には、国際的な意味での異文化だけではなく、世代差などでも「カルチャーショック」と言う言葉を使う人も多いですね。
カルチャーショックとは?基本的な意味を解説
カルチャーショックとは、異なる文化の中に入ったときに起こる心理的・社会的な摩擦のことです。自文化と多文化の価値観や習慣などの違いから驚きや戸惑いを覚えたりすることを指します。留学や仕事、移住などで自分がほかの文化圏に行ったときや、他の文化圏から来た人とのコミュニケーションの中で「カルチャーショック」を受けた経験がある方は多いのではないでしょうか。 日常的には、国際的な意味での異文化だけではなく、世代差などでも「カルチャーショック」と言う言葉を使う人も多いですね。
カルチャーショックが起こる原因と具体例
私たちは知らず知らずのうちにいろいろな文化や価値観を身に着けています。「○○しなさい!」と子どもの頃から明示的に言われることもあれば、誰かに言われたわけではないけれど、自然と環境から身に着けた感覚などもあります。
・会話の仕方、頻度、表現の仕方
・何をことばに出して伝えるか、伝えないか
・ジェスチャー、あいづちなどの非言語コミュニケーション
・生活習慣やビジネスの習慣
・ファッション、色彩やにおい、食べ物の指向、美的感覚
・社会、公共のマナー
・教育の仕方、学校の文化
・その社会で大人としてどんな性格や資質を持っていることが理想的とされているか
「普段は当たり前だと思っていることが、他の文化では当たり前ではない」ということを自分の経験から実際に感じたことがある方は多いと思います。ある文化圏で生活していると、その文化を当たり前に感じてしまい、なかなか意識することはありません。しかし違う文化と接触したときに考え方の前提が違うことに気がつき、はじめて自分の持っている文化や価値観を意識することになります。
同じ言語を使っていれば誤解がないかというとそういうわけでもありません。

筆者自身も海外での経験や日本に住んでいる海外出身の友人、学習者とのやりとりで違いを感じることがあります。例えば、筆者がニュージーランドに短期留学をしていたとき、「それはここではオフィシャルな声の大きさではないから、もっと大きい声で話した方がいい」とホストファミリーに指摘をされたことがあります。日本では声が小さいと言われたことはなかったので、非言語の部分にも違いがあるのだと学びました。
また、学生時代に中国出身の友人と話しながら歩いていたとき、彼女の足に私のかばんが軽く当たってしまい「ごめんね」と言ったとき、「どうして友達なのに謝るの?なんだか他人みたいだよ」と怪訝な顔をされたことがあります。日本では「親しき仲にも礼儀あり」ですが、彼女の文化では遠慮の要らない親しい距離感を大切にしていたため、壁を作られているように感じたようでした。
その友人もその後長く日本で過ごした結果、無意識のうちに日本の文化に慣れていったらしく、中国に一時帰国した際、日本にいるときのように友人につい「ごめん」と言ってしまい「日本人みたい(笑)」と言われたそうです。
会話の進め方にもその国の文化がよく表れます。
日本ではよく、「お茶どうですか?」「ああすみません、お気遣いなく」「まあまあそう言わずに。外は暑かったでしょう」「じゃあ1杯いただこうかな」のように、一度謙遜してから希望を伝えることがあります。
筆者は親しい間柄であれば「あ、ありがとう、飲む飲む~」などとカジュアルに直接伝えることもありますが、やはり目上の人や親しくない人にいきなり自分の希望を直接伝えるのは失礼に感じてしまいます。しかし、日本以外の国に行くと、来客が断ったら飲み物は出さないのがむしろマナー、と考えられることも多いです。
筆者も日本的なやりとりに慣れていて、留学中に反射的に相手の申し出を断ってしまったことがあります。しかし当然言葉通りに受け取られ、「ここでは日本語のコミュニケーションパターンよりも、丁寧に正直に伝えるほうがいいな」と学びました。
日本に来た外国人学習者も、日本の交通、食や生活のルール、コミュニケーションの取り方の違い、ビジネス習慣の違いなどから戸惑いを覚えることも少なくありません。日本語教師は、学習者の話を傾聴し、共に考え、自らも自分の文化について考える、という態度が欠かせません。
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日本語教員試験対策は「合格パック」詳細はこちら異文化適応のプロセス
異文化適応は一直線に進むものではなく、また個人差もあります。その文化についての知識の有無や異文化との接触経験、個人の年齢、性格や文化的背景など、自分が自文化をどう捉えているかも、異文化への見方に影響を及ぼすことがあります。
異文化適応は、文化摩擦の経験を通して違いに気づき、行ったり来たりしながら異文化への理解を深めていくプロセスです。短い滞在では珍しさや真新しさのみでそこまで大きな摩擦を経験する前に帰国することもあるでしょう。しかし長期の滞在では、文化の違いからうまく適応することができず帰国するケースもよくあります。
カルチャーショック自体は決して悪いものではなく、新しい視点や学びを得るための重要なきっかけになるものです。しかし、文化の摩擦が原因となって人間関係がうまくいかなくなったりするとストレスで心身に影響を及ぼす可能性もあるため、自文化とのバランスを取りながら異文化を理解し、共存していけるのが理想ではあります。
ホスト文化側(異文化を受け入れる側)と異文化に入る人の双方が異文化理解のための事前学習や異文化トレーニングを行うことも、双方のスムーズな異文化適応の一助になります。
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日本語教員試験対策は「合格パック」詳細はこちらUカーブ仮説とは?異文化適応との関係
異文化コミュニケーションの研究分野では、人が異文化に入ったときに起こる心理的プロセスを説明する理論として「Uカーブ」というものがあります。
これは、新しい文化に入ってから適応するまでの経緯をアルファベットのUの形で例えています。
1 ハネムーン期
あらゆるものが新鮮に感じ、高揚感を感じる時期。なんでも見てみたい、やってみたいという気持ちが生まれ、新しい環境や人間関係、習慣が興味深く、楽しく感じられます。
2 ショック期
少し慣れてくるとハネムーン期には気がつかなかった文化の側面に気がつき始めます。自分が期待していたものとのギャップや現実に直面し、その文化の嫌なところが気になるようになったり、人間関係の悩みを感じるようになります。
3 回復期
ショック期を乗り越えると、だんだんと文化の違いを受け入れられるようになり、折り合いがつけられるようになってきます。
4 安定期
その文化圏での自分のあり方や考え方が落ち着いてきて、大きなストレスを感じずに過ごせるようになります。
また、この理論に関連するものとして「Wカーブ」というものもあります。長い時間異なる文化にいた人が自分の母文化に戻ったときに感じる、いわゆる「逆カルチャーショック(「リエントリーショック」といいます)」と、その後徐々に再度自分の文化に適応していく「再適応」のプロセスも含めた概念です。
すべての人がこの理論の示すプロセスをたどるわけではありませんが、自分自身や自分の周りの人が新しい文化の中で悩んだ時には、自分が今どの位置・状態にあるのかを理解するのに役立つと思います。
日本で就労、生活、留学などをする日本語学習者も、同様にこのようなプロセスをたどると考えられます。自分が教師として他国で教えることになった場合も同様です。
登録日本語教員試験対策ポイント
異文化適応のプロセスは「言語と心理」の分野の基礎試験や、教室での異文化間コミュニケーションの問題として応用試験での出題が考えられます。
問題例1:A、Bそれぞれに当てはまることばを選びなさい。
「言語レベルが上がっても、異文化適応に関する問題が起きることがある。一般的にはよく「カルチャーショック」と言われるが、この適応プロセスについて説明した「Uカーブ」は( A )を、( B )は帰国後までを含めた理論である。」
( A )
1 入国前から帰国前まで
2 入国から適応まで
3 文化の摩擦から回復まで
4 入国前から入国直後まで
( B )
1 Sカーブ 2 Vカーブ 3 Wカーブ 4 Mカーブ
正解:
( A ) 2
( B ) 3
解説:
(A)2 Uカーブは新しい文化に入ったとき(入国)から精神状態が安定するまでの「ハネムーン期」「ショック期」「回復期」「安定期」を説明したものです。
(B) 3 Wカーブはそれまでいた異文化から自文化(自国)に戻った後に起こる再適応を含めたものです
登録日本語教員の試験では、日本語や教育だけでなく心理学まで広く出題されます。どれも日本語教師として教壇に立つために欠かせない専門的な内容です。
まとめ
異文化の適応はとても興味深く、時に大きな問題にもなるものです。
日本語教師としていろいろな文化圏の学習者と会いますが、学習者とのやりとりでも文化の違いを感じることがよくあります。教室での参加の仕方、ロールプレイ練習の話し方ひとつとっても、文化の違い、そして個性があります。
どのように接し授業を組み立てるべきか、どのように相手の文化を理解すればよいか、また日本の文化をどのように伝えるべきか、私も試行錯誤をしています。
これから日本語教師として活躍される方も、今活動されている方も、学習者と共に学びながら頑張っていきたいですね。
異文化コミュニケーションや異文化間での教育・学習における心理学の知識は日本語教員試験においても頻出の範囲です。
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